【実習3・パフォーマンスづくりの実践と考察】
3月19日(土)@IID世田谷ものづくり学校 Studio
講座8日目です。今回の講座には宏平さんからこんなオーダーが出ていました 。
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講座でいろいろな物を集めて使ってみたいです。
用途としては、イメージシーンの表現や音に使えるもの探し、です。
正規の楽器や本物の道具でない物を使って、どう世界を描くか(本物を使うよりかえってイメージが豊かになることも多いですよね)。
布や箱、棒、球形のもの。いろいろな質感のものが集まると嬉しいです。
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ということで!大きな物では、金だらい? ワインクーラー、お風呂で使うシューズもあれば、積み木にママゴトセット、ビニール袋、木のおさじに泡立て器、チエリング、正統的に(!?)タンバリンなども集まりました! 皆で持ち寄った物を眺めて、触って、音を出したり、鍋をかぶってスリコギで叩いてみたり(…どうしてああゆう形状のものはかぶりたくなるんでしょう)、ビニール袋をふくらまして両手で持って動かしバフッと大きな音をたてたり、金網と泡立て器は思わぬ音色を奏でたり…。


さっそく、いろいろな道具を使ってグループでシーンを作ってみます。鬼は川からどうやって皆の前に姿をあらわすのか、王様の頭からロバの耳はどんなふうに生えているのか、街にネズミはどんな感じで湧いて出るのか?
(どんなお話なのか読者の皆さんにもだんだんわかってきましたね!)
宏平さんから「音だけでなくビジュアルにも気をつけてみて」と声がかかります。いったんここで、ビニール袋をかぶった鬼の登場シーンを表すのにお菓子の空き箱で机を叩いたり、拍子木で机を叩いて音響効果をつけたチームを皆で見て、もうちょっと道具遊びは続きます。


その後、全体を2グループに分けて、それぞれやったことをシェアします。自分の作った音、見つけた音のシェアはなかなか愉快です。「バードコールはネズミっぽく聞こえるか?」「お弁当箱にBB弾を入れて転がすとドラムロールみたいな感じ」「木のティッシュケースをスリコギで叩くと部分ごとに違う音がする」…それに対して、宏平さんからは「音が出ると思ったら出なかった、スカッというのも面白い体験ですね」とコメントがありました。

さて、次は「ロバの耳研究」です。『王様の耳はロバの耳』の最初のどっきりシーン「床屋が初めて王様の耳がロバの耳だと知る」を2チームで作ってみます。じっくり話し合うチームと、新聞紙でどしどし作り始めるチーム、すでに違いがあらわれ始めています。

そして発表!2チームとも演者と音担当に別れているところは一緒ですが、王様の造形は全く違います。新聞紙の耳をつけて、後ろに控えるあやつり役が耳を動かしている王様には従者が二人付いています。音担当者がゴムをひっぱって立てる「びよ〜ん」という音がなんだか不穏な感じです。

もう一つのチームは、ビニール袋のマントを羽織り、錫杖代わりの縦型掃除機を握り、チエリングの装飾を施した金だらいの王冠をかぶっている王様(こちらの王様の耳はスリッパでした)。どちらもユニークで、それぞれの世界観の中で王様として存在していました。


後半のプログラムは「語ること」がメインです。それぞれのグループで使っていい道具は3種類に絞って、動きも最小限に抑えて「語ること」に注力します。(最初にやって見せてくれた宏平さんの語りは流石にプロ!でした。みんなうっとりしたりびっくりしたり。)
床に座るグループ、椅子に座るグループも立ったまま始めるグループもあります。いったん出来たら宏平さん、アシスタントのさやかさん、プロデューサーのそうちゃん、を呼んで見せていきます。 「とんちばなしの方から試してみたら?」「ここにその表現は必要かなぁ?」と相談しながら、コメントをもらいながら、言い方を変えたり、声の調子を変えたり。効果音の消えたスタジオに本を読む皆の声が響いています。


最後に宏平さんからは「声のアンサンブルが出来たチーム、クイズの楽しさがわかったチームがありましたね、このシーンをつなげてお話を作っていきましょう」とまとめのお話がありました。

そうちゃんからはアルテナラ世田谷2022のテーマについてお話しがありました。2018年、2019年開催時は、レッジョナラのテーマを皆で共有するだけにとどめていましたが、今年は、アルテナラ世田谷2022として、初めてテーマを策定しました。それが「あ・い・だ」です。作品とパフォーマーの「あ・い・だ」に何かが生まれる、パフォーマーと見ている人の「あ・い・だ」に何かが生まれる、見ている人と地域の「あ・い・だ」に何かが生まれる、そんなイベントになればいいなという願いが込められています。
その後、受講生はチームごとに「アー写」つまりアーティスト写真を取りましたよ!(これがなかなか良い味です、公開が楽しみ!)4月24日のイベントに向けてチラシやHPの準備も進んでいます。
年度末・年度始めはみんないろいろ忙しい時期です。受講生もスタッフも体調に気をつけて、残り1ヶ月を大事に過ごして行きましょう!