artenarra世田谷2022 講座開催レポート #9日目

【アルテナラ世田谷に向けて作品作り】
4月2日(土)@IID世田谷ものづくり学校 Studio

まちの桜はもう満開です。前回の講座から二週間たったStudioに、今日も受講生たちが集まりました。 まずは「アルテナラ体操」で、自分の体調や感覚をチェック。今日は気温は前回より低めだけれど、やっぱり暖かくなったなあ。

講座は今日を含め残すところあと二回ということで、まずは担任ズから今後について、そしてそうちゃんからは、みんなと共有していたいことについて、あらためてお話がありました。

「当日はアーティストとしてパフォーマンスをしてください。想定していた以外のことも起こるのがアートだと思っています。(アルテナラの元となるレッジョ・ナラが生まれた)レッジョ・エミリア教育では、子どもたちに答えは教えず、探究させます。おしゃれでなくてもいいし、 ドロドロした表現になってもいいのです。ぜひ、みなさんの探究をしてください。」

「分からなさに向かう中で、自分たちは何をそこに出すか」という言葉が、印象に残りました。アルテナラでの読み語りは、その人自身や、様々な対話を重ねた跡が、物語の中に映し出されるものであってほしい。4月24日の「アルテナラ世田谷2022」本番までのあと三週間、私たち は、その探究を共にしていくのです。

作品作りもいよいよ本格的になっていきます。
「今日は二つのことを並行して進めます。グループではそれぞれ、創作を続けてください。その間に、宿題だった<語り>を、一人ずつみせていただきます」。
講師の宏平さんの言葉に、受講生たちからは、ため息や悲鳴のような、ざわめきが聞こえてきました。

じつは受講生たちには今日までに、<2分間のひとり語りをつくる>という課題が出されていたのです。しかもそれは、「目の前の観客への語 りとして」。近づく本番を間近に、一気にハードルが高くなった気がするなあ。 でも、宏平さんからは、この課題の準備の手順や様々なアプローチの仕方について、ヒントとなるたくさんの言葉が、伝えられていました。

まず、<原作のブックマーク>という、グループの原作のどこに自分は惹かれたか、それは何故なのかを深掘りする作業については、「ほかのひとが経験していないことを経験していたり、ほかのひとが経験していることを経験していなかったり、人間って違いがあって、出会いは常に 面白い」。「自分ではありきたりだとか平凡だとか意味不明だとか思っていることが、実はほかのひとにとってはびっくりしたりワクワクした りすることかもしれないので、あまり選別せず、自分から発される好奇心の声に従って」。

そしてそれをもとに<ひとり語りをつくる>という作業については、「たどたどしくなってぜんぜんOK」「ひとり語りの作者であるあなたが、 どんなアングルで、どんな色のフィルムで、そのシーンを切り取るのか」「あなたにとって当たり前のことと感じていたり表現未満のことだと感じていることでも、ほかのひとにとっては驚きや興味を覚える視点や表現かもしれません」。
こんなアドバイスを受けて、今日はどんな<ひとり語り>が生まれるのでしょう。ちょっと、わくわくしてきませんか。

ベルが鳴らされるのを合図に、各グループから一人ずつが、ちょっと緊張しながら、それぞれの<ひとり語り>を披露しに宏平さんの元へ向かいます。観客は宏平さんとアシスタントのさやかさん、そして他の二つのグループから集まった受講生です。

束の間の<ひとり語り>の空間が、次々と繰り出されていきます。
原作にはない登場人物のつぶやき、物語の世界を見守る意外な視点、意外な人物設定、場面設定、手作りの小道具、などなど、三つの原作をも とに、11人の語り手たちが生み出した、それぞれ全く違う味わいの<ひとり語り>。一人ひとりの生のフィルターを通したことで、物語のイ メージが無数の人生のような広がりを持ち、「こういう人、いそうだなあ」「確かにそういう見方もあるかも!」と、観ているこちらにも、何 か身近な感覚が迫ってきます。

それぞれの<ひとり語り>を観終わった後は、それぞれの感想の他、自分のパフォーマンスがなぜそのようになったのかを伝え合います。 お互いのこれまでの経験や、今の状況、当事者意識についてなど、対話が深まっていく場には、ずっと聞いていたいような楽しさや安心感、居 心地の良さが感じられました。物語を通じ、お互いのあり方に自然に関心を持ったり、知り合ったりする時間にも、なっていたのではないかなあ。

「ひとり語り」で手応えを得た受講生たちは、自分のグループに戻り、創作を続けます。物語への個々の思いや持ち味がはっきりしてきて、より納得する方向性を探ったり、アイデアを伝え合ったり、Studio内の熱気はぐっと上がり、賑やかになっていました。 次回はまた二週間後、本番前の最後の講座です。作品作りが進化していくプロセスを、仲間と一緒に楽しんでいきましょう!

投稿者について

team artenarra

レッジョ・エミリア、レッジョ・ナラの理念に共感し、日本での読み語り・総合芸術のイベント『artenarra』を開催するプロジェクトチームです。

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